辞書機能

辞書ファイルに登録している文字列を画面に表示し、画面を指示することで文字列を入力できます。 指示された文字列は、キーボードからの入力同様に、入力文字表示領域に表示されます。

1.使用方法

辞書機能は、コマンド実行中の割込みコマンドとして動作します。
標準でサポートされている全てのコマンドにおいて使用できます。
ユーザコマンド、ユーザGALにおいても、入力ルーチンをZSINPTに変更することで使用できるようになります。
辞書機能を使用するには、以下の設定が必要です。
・環境変数「GRADE_DIC」の設定
・目次ファイルの作成
・辞書ファイルの作成

2.環境変数

環境変数「GRADE_DIC」に、目次ファイルのパス名を設定します。
この環境変数が設定されていない場合、標準起動バッチファイルにおいて、%DRAW_HOME%\run_field\mokujiが設定されます。
この環境変数で指定した目次ファイルを作成し、目次ファイルと同じディレクトリに辞書ファイルを配置します。
出荷メディアの中には、あらかじめ目次ファイルといくつかの辞書ファイルを用意しています。

3.目次ファイル

環境変数「GRADE_DIC」で指定するテキストファイルを「目次ファイル」と呼びます。
このファイルには辞書ファイル番号に対応する辞書ファイル名称の一覧が記述されています。
以下に目次ファイルの書式について説明します。
%DRAW_HOME%\run_field\mokuji(標準目次ファイル)

  • 一行の文字数の制限
    コメント行を含み、各行の文字列は、80バイト以内で記述してください。

  • コメント行
    先頭が#の行は、コメント行とみなします。
    コメント行が多くなると、辞書ファイル名称の検索に時間がかかるようになります。

  • 辞書ファイル番号
    1〜9999までの整数が使用できます。ただし、1〜1000まではシステムが使用する番号です。
    ユーザが作成する辞書ファイルは、1001番以降の辞書ファイル番号に対応付けてください。
    辞書ファイル番号は、重複していなければ、途中の番号が抜けていてもかまいません。
    また、番号順に書かなくてもかまいません。

  • 辞書ファイル名称
    辞書ファイル名称の記述は、絶対・相対パスでの指定ができます。
    相対パスで指定した場合は、目次ファイルの存在するディレクトリからの相対パスとなります。
    辞書ファイル名称の長さは、相対パス名称を完全進路名称に展開した長さが128バイトまで有効です。

  • 辞書ファイル番号と、辞書ファイル名称の対応付け
    辞書ファイル番号を記述し、「,」で区切り、辞書ファイル名称を記述します。
  • 4.辞書ファイル

    辞書ファイルとは、目次ファイルで辞書ファイル番号に対応付けられているテキストファイルです。
    ファイルの拡張子は 「.dc」です。辞書ファイルは、見出し行、フォーマット指定行、文字列から構成されています。
    以下に、辞書ファイルの書式について説明します。
    %DRAW_HOME%\run_field\dictionary1.dc(サンプル辞書ファイル)
  • 記述の順序
    先頭行に見出し行を記述し、続いてフォーマット指定行を記述します。
    以降は文字列を1行につき1文字列で記述します。

  • コメント行
    先頭が#の行は、コメント行と見なします。
    コメント行は、#を含み、80バイトまで記述可能です。
    コメント行が多くなると、辞書ファイルの表示に時間がかかるようになります。

  • 見出し行
    辞書ファイル選択画面において表示される、辞書内容を識別するための文字列で、34バイトまで有効です。
    コメント行を除き、最初の行に必ず記述してください。

  • フォーマット指定行
    各列の表示バイト数を指定します。バイト数の指定は、数値と「,」で1列分の指定となります。
    数値と「,」 を1組だけ記述した場合、1列での表示となり、2組記述すると、2列での表示となります。
    最大4組まで記述でき、この場合、4列での表示となります。
    1〜4列まで記述する場合の例を以下に説明します。
    40,‥‥‥‥‥40バイト1列で表示
    20,30,‥‥‥‥‥20バイト、30バイトの2列で表示
    10,24,8,‥‥‥‥‥10バイト、24バイト、8バイトの3列で表示
    22,16,2,10,‥‥‥‥‥22バイト、16バイト、2バイト、10バイトの4列で表示
    フォーマット指定行は、見出し行の次に必ず記述してください。
    文字列は[ ]ではさんで表示するため、有効な文字数は、表示列数によって変わります。
    表示列数の違いによる有効文字数は以下の通りです。

  • 文字列
    フォーマット指定行以降の行(コメント行を除く)は、全て辞書用の文字列として表示されます。
    また、文字列にはブランクのみの行(空白行)も使用可能です。
    ただし、この場合表示領域は使用されますが、[ ]は表示されません。
    文字列の表示文字数は、フォーマット指定行に従います。
    表示上切り捨てられますが、登録は可能です。
    ただし、登録可能文字列は、128バイトまでです。

  • 表示行数
    最大20行まで表示します。
    20行で辞書ファイルの全てを表示できない場合は、ページを替えて表示します。
    表示列数が3で20行表示した場合、辞書の文字列は1ページに60文字列表示されることになります。
  • 5.表示画面

    辞書機能の画面には、辞書ファイル選択画面と文字入力画面の2種類があります。
    辞書機能を起動したときに辞書ファイル番号に0が設定されている場合、辞書ファイル選択画面で起動されます。
    辞書ファイル番号に1以上の番号が設定されている場合、文字入力画面で起動されます。

  • 辞書ファイル選択画面

  • 見出しの表示
    目次ファイルと同じディレクトリの辞書ファイル(*.dc)を検索し、その見出しを表示します。
    見出しは、[ ]ではさみ、左づめし、2列で表示します。
    ここに表示されるのは、辞書ファイル名称ではないことに注意してください。

  • 辞書ファイルの選択
    辞書ファイル選択画面において、選択したい辞書ファイルの見出し部分([ ]の中)を指示すると、文字入力画面に戻り、その辞書ファイルの内容を表示します。
    また、キーボードから辞書ファイル名称を入力して指定することも可能です。

  • その他
    一度に表示できる辞書ファイルの見出しの数は40個です。
    辞書ファイルが40を越える場合はページを替えて表示します。

  • 文字入力画面

  • 見出し
    辞書ファイルの見出し行を表示します。

  • ページ
    辞書ファイルの内容が1ページで表示できない場合、全体のページ数に対する現在表示しているページを表示します。
    辞書ファイルの内容全てを1ページで表示できる場合、ここには何も表示されません。

  • 文字列表示行
    辞書ファイルの内容をフォーマット指定に従って表示します。
  • 6.操作例

    文字(PAT)コマンドの作成モード、短文入力の場合を例に辞書機能の使用例を説明します。

  • 文字コマンドの起動
    コマンドメニューの[文字]を指示し、コマンドを起動します。
    コマンドを起動すると、メッセージ表示領域に「文字列<カナ漢字変換>*」と表示され、キーボードからの文字列の入力待ち状態になります。

  • 辞書機能の利用
    システムメニューの[辞書]を指示すると、辞書機能の利用を開始します。

  • 辞書ファイルの選択
    利用したい辞書ファイルの見出しを指示します。

  • 文字列の入力
    入力したい文字列を指示します。
    指示した文字列は、キーボードからの入力同様に入力文字表示領域に表示されます。
    キーボードからの入力と同様なので、カーソル制御や、B/Sキーでの削除もできます。

  • 文字列の確定
    C/RまたはC/Cを入力すると、辞書機能は終了します。
    入力は文字コマンドにもどり、キーボードから文字列を入力した場合同様に、配置できます。

  • ページの変更
    辞書ファイルを1ページで表示できない場合、次ページでの表示になります。
    次ページがある場合、オプションメニューに[次ページ]のボタンが表示され、これを指示すると次のページを表示します。
    また、前ページがある場合、オプションメニューに[前ページ]のボタンが表示され、これを指示すると、前のページを表示します。

  • 画面指示でのページ変更
    文字列入力画面において、見出しをはさんでいる「<」より左部分を指示すると、[前ページ]ボタンと同様の動作をし、「>」より右側を指示すると、[次ページ]ボタンと同様の動作をします。

  • 辞書ファイルの変更
    オプションメニューの[辞書変更]を指示すると、辞書ファイル選択画面になり、辞書ファイルの変更ができます。

  • 画面指示での辞書ファイルの変更
    文字入力画面の見出し部分を指示すると、[辞書変更]ボタンと同様の動作をし、辞書ファイル選択画面に変わります。
  • 7.参照辞書ファイル番号

    参照辞書ファイル番号とは、辞書機能が利用されたときに参照される番号で、初期値では0が設定されています。
    0が設定されている場合に辞書機能を利用すると、辞書ファイル選択画面となり、1以上の整数が設定されている場合、目次ファイルを参照し、その番号に対応する辞書ファイル名称を検索し、その内容を文字入力画面に表示します。
    また、ZSINPTにおいて、数値入力を指定した場合、参照辞書ファイル番号は自動的に1が設定されます。

  • 参照辞書ファイル番号の指定
    参照辞書ファイル番号を指定するGIP(SSDICS)をスタートアップGAL等でコールすることで、辞書コマンドを起動したときに表示する辞書ファイルを設定することができます。
    このGIPをコールしない場合は、初期値に0番が設定されていますので、辞書ファイル選択画面が表示されます。
    またユーザGAL等では、入力ルーチン(ZSINPT)をコールする前にこのGIPで辞書ファイル番号を指定することで、辞書ボタンを押されたときに参照する辞書ファイルを指定することができます。

  • 10キー辞書ファイル
    入力ルーチン(ZSINPT)で数値入力を指定した場合は、自動的に辞書ファイル番号1番が指定されます。
    初期値では、辞書ファイル番号1番は10キー辞書ファイル(draw_10key.dc)が設定されています。
    数値入力時には自動的に10キー辞書ファイルが表示されます。
    10キー辞書ファイルをカスタマイズする場合は、辞書ファイル番号1番に新たに対応付けた辞書ファイルを作成するか、10キー辞書ファイルをコピーして編集してください。
    10キー辞書ファイルの使用例は以下の通りです。

  • 数式入力キー
    10キーと、四則演算に使用する記号、組み込み関数の一部を登録しています。

  • カーソル制御キー
    入力文字表示領域での左右カーソル移動、入力文字表示領域の文字列全てのクリア、B/Sを登録しています。
    10キー辞書ファイルでは、この4つのキーは予約語とし、文字列としての登録はできません。
  • 8.カスタマイズ

    辞書ファイルのカスタマイズ例を、以下の手順で説明します。
    ・辞書ファイルを管理するディレクトリの作成
    ・目次ファイルと、10キー辞書ファイルの作成
    ・辞書ファイルの作成
    ・環境変数の設定
    ・辞書機能の実行例
    ・目次ファイルへの登録
    ・ユーザGALでの参照辞書ファイル番号の指定
    ・ユーザGALの実行例

  • 辞書ファイルを管理するディレクトリの作成
    ここでは、Space-E/Drawをインストールしたディレクトリ(%DRAW_HOME%)の下に、dc_fieldというディレクトリを作成し、ここに目次ファイルと辞書ファイルを作成することにします。

  • 目次ファイルと10キー辞書ファイルの作成
    辞書機能を使用するには、必ず目次ファイルが必要です。
    また、標準のコマンドでは、数値入力時に、辞書ファイル番号1を指定しているので、10キー辞書ファイルも必ず必要です。
    %DRAW_HOME%\run_field\mokujiをdc_fieldにmymokujiという名称でコピーします。
    %DRAW_HOME%\run_field\draw_10key.dcをdc_fieldにコピーします。
  • 辞書ファイルの作成
    ユーザ独自の辞書ファイルを作成します。
    ここでは、取引先の会社名を集めたuser_list.dcという辞書ファイルをエディタで作成することにします。
    (辞書ファイル名称には、必ず拡張子「.dc」が必要です。)
    (1) コメント行です。
    なくてもかまいませんが、ファイルの内容を説明するコメントを記入しておくと便利でしょう。
    また、コメント行は、どの位置の行に記入してもかまいません。
    (2) 見出し行は必ず必要です。
    辞書ファイル選択画面で表示されるので、ファイルの内容を表す見出しを付けるのがよいでしょう。
    (3) フォーマット指定行です。
    左右20バイトの2列で表示することにします。
    (4) 文字列(会社名)です。
    表示枠は20バイトなので、これを越える長さの会社名は取り扱えません。フォーマット指定を変更するか、別の辞書ファイルで対応してください。
    会社名を記入し終わりましたら、ファイルを書き込み、エディタを終了してください。
    これで取引先の会社名を集めた辞書ファイル(user_list.dc)が作成できました。

  • 環境変数GRADE_DICの設定
    先程標準環境からコピーした目次ファイルのパス名を環境変数GRADE_DICに設定します。
    変数:GRADE_DIC
    値 :%DRAW_HOME%\dc_field\mymokuji

    これで、辞書コマンドを起動したときに参照する目次ファイルは %DRAW_HOME%\dc_field\mymokujiに変更され、辞書変更画面で辞書を検索するディレクトリも、%DRAW_HOME%\dc_fieldに変更されました。

  • 辞書機能の実行例
    文字コマンドを例に、辞書機能を実行してみましょう。
    (1) コマンドメニューの[文字]を指示し、文字コマンドを起動します。
    文字列<カナ漢字変換>*と表示され、文字入力待ち状態になります。

    (2) システムメニューの[辞書]を押します。
    辞書機能が起動し、グラフィックウィンドウに以下のような表示が現われます。

    標準からコピーした10キー辞書ファイルと、先程作成したお得意先リストファイルが選択できます。

    (3) [お得意先リスト]を指示します。
    先程作成した辞書ファイル(user_list.dc)の内容が表示されます。

    (4) 引用したい文字列(会社名)を指示します。
    ここでは、左上の○○○○○株式会社を指示してみます。
    キーボードからの入力と同様に、入力文字列表示領域に「○○○○○株式会社」の文字列が表示されました。

    (5)文字列を確定する
    マウスの右ボタンを押すか、キーボードからC/Rを入力して、文字列を確定します。
    文字列を確定すると、確定した文字列は、任意の位置に配置できます。

  • 目次ファイルへの登録
    このままでも作成した辞書ファイルは使用できますが、目次ファイルへ登録することで、参照辞書ファイル番号と対応付けができます。
    参照辞書ファイル番号に対応付けしておくと、ユーザGAL等でその参照辞書ファイル番号を指定することで、辞書機能を利用したときに辞書ファイル選択を行わなくても作成した辞書ファイルを表示することができます。
    (辞書機能起動時に最初から文字入力画面となり、辞書を表示します。)
    作成した辞書ファイル(user_list.dc)を目次ファイルに登録します。
    目次ファイルmymokujiを開き、辞書ファイル番号1番の10キー辞書ファイル以外の対応付けの行を削除またはコメントにしてください。そして以下の行を追加してください。
    1001,user_list.dc
    ここでは、辞書ファイル番号1001番を使用しています。

  • ユーザGALでの辞書ファイル番号の設定
    文字コマンドを起動するGALを作成します。
    ただし、文字コマンドを起動する前に、辞書ファイル番号を1001番に変更します。

    (1) GALエディタ(GLSD)コマンドを起動し、以下のプログラムを作成します。

    現在の参照辞書ファイル番号の取出しと、コマンド起動後の元に戻す処理は必ず行って下さい。
    この処理を行わない場合、このコマンド終了後は常に1001番の辞書ファイルが始めに表示されます。
    (2) GALをコンパイルし、実行します。

  • ユーザGALの実行例
    pat1 と入力し、作成したGALを起動します。
    文字コマンドが起動しますが、辞書機能を使用すると、先程作成した辞書ファイル(お得意先リスト)が最初から表示されます。