図面管理サービス


図面管理サービスとは、Space-E/Drawで作成されたCADデータ(図面)をPDMや他のRDBシステムと組合わせて管理する仕組みを提供するものです。

PDMやRDBシステムにCADデータを登録する際に必要となる属性データは、Space-E/Draw側のGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)から入力します。

表題欄の定義ファイルに属性値の配置位置や配置形式をあらかじめ設定しておけば、入力した属性値を表題欄に自動的に配置することができます。

入力された属性データは、保存実行時にプロパティデータに登録されます。

入力された属性データをGALでテキストファイルに出力し、他のデータベースに登録することも可能です。

任意の文字列をキーボードから入力する属性(フリーキーワード)以外は、GUIに表示される属性、属性値の候補一覧から画面指示により属性を入力するので入力ミスが少なくなります。

1.環境設定

1.1.環境変数の設定

図面管理サービスを使用するためには、下記の環境変数の設定が必要です。

環境変数名、機能およびデフォルトは下記の通りです。

この環境変数で設定したディレクトリに属性、属性値一覧のキーワードファイルを作成してください。
作成方法は’1.3.属性、属性値ファイルの設定’を参照してください。
デフォルトは%DRAW_HOME%\run_fieldで、変更の必要がなければこの環境変数を設定する必要はありません。
この環境変数で設定したディレクトリに、図面管理設定(DRDF)コマンドで定義した表題欄定義ファイル(シンボル名称+拡張子’.AREA’)が作成されます。
デフォルトは$DRAW_HOME/run_fieldで、変更の必要がなければこの環境変数を設定する必要はありません。
また、このディレクトリには書き込みの特権が必要です。

1.2.表題欄の設定

図面管理サービスでは、表題欄のシンボルが必要です。

表題欄のシンボルにはアイテム名称’DRADWAKU’を付加する必要があります。

スタートアップなどで、表題欄のシンボルを配置する際に、アイテム名称を付加するようにしてください。

(スタートアップGALでの設定例)

SCALL ZPLCSY(ZITM,0,0,0,SC,SC,0,NF,FRNM,IR);枠コピー
     ↓
SCALL ZPLCSY(’DRADWAKU’,0,0,0,SC,SC,0,NF,FRNM,IR);枠コピー

1.3.属性、属性値ファイルの設定

図面管理サービスでは、属性、属性値一覧をテキストファイルとしてエディタであらかじめ作成しなければなりません。

このファイルは、属性、属性値一覧の内容が更新されるたびに更新する必要があります。

属性一覧のファイルでは’作成者’といった選択項目を設定します。

属性値一覧ファイルでは、属性に対する選択項目のキーワードを設定します。

■属性、属性値一覧ファイルの作成

属性、属性値一覧ファイルは環境変数GRADE_DRADで設定しているディレクトリに作成してください。
1)属性一覧ファイル
フォーマット:各行の文字列は20バイト以内(項目の数は最大200行)
ファイル名称:ZOKUSEI(名称固定)
2)属性値一覧ファイル
フォーマット:各行の文字列は40バイト以内(項目の数は最大200行)
ファイル名称:ZOKUSEICHI_XX(名称固定)
(XX:ZOKUSEIファイルで対応する属性が記入されている行数)

■ファイル例

この例のように、ZOKUSEIファイルの2段目である作成日の属性値一覧ファイル(ZOKUSEICHI_2)が設定されていません。
この場合、作成日の項目はフリーキーワード入力となり、キーボードから任意な文字列を入力します。

1.4.定義ファイルの設定

表題欄へ記入する属性、配置位置、文字の形式といった内容を定義ファイルに設定します。

定義ファイルは図面管理設定(DRDF)コマンドで対話形式により設定します。

オペレーションについては、’図面管理設定(DRDF)コマンド’を参照してください。

2.図面管理設定(DRDF)コマンド

表題欄に自動配置する文字列の配置方法を定義ファイルで設定します。

2.1.定義ファイルでの設定項目

図面管理設定(DRDF)コマンドで定義する項目は、以下の6つです。

・文字の配置エリア(左下,右上の位置)
・文字のクラス
・文字の高さ
・文字の幅
・文字の配置形式(1.左詰め,2.中央,3.右詰め,4.均等配置)
・属性値の前のカウンター処理(1.あり,2.なし)

2.2.定義ファイルの内容および作成ディレクトリ

図面管理設定(DRDF)コマンドで作成される定義ファイルの内容およびディレクトリは以下の通りです。

作成ディレクトリ:環境変数GRADE_DRAD_APIで設定されたディレクトリ

ファイル名称:設定したシンボル名称.AREA(.AREA;拡張子)

ファイルの内容:

・属性(最大20バイト)
・シンボル原点から、配置エリアの左下の座標までの相対距離(X,Y)
・シンボル原点から、配置エリアの右上の座標までの相対距離(X,Y)
・定義ファイル登録時のウィンドウスケール
・文字のクラス
・文字の高さ
・文字の幅
・文字の配置形式
・属性値のカウンター処理フラグ

2.3.属性値のカウンター

図面管理サービスでの定義ファイルの設定では、すべての属性に対し’属性値のカウンター処理なし’を設定してください。

3.図面管理(DRAD)コマンド

図面に付加する属性、属性値をインターフェイスの入力ウィンドウから入力します。

その中で、定義ファイルで設定した属性のみ表題欄に配置されます。

その他の属性は、表題欄に配置されている属性値も含めてプロパティデータの中にデータを保持します。

表題欄に配置された属性の文字列には、DRADZOKUというグループ名称が付加されます。

入力内容は随時入力ウィンドウに反映されますので、常に内容を確認しながら入力することができます。

入力方法はある属性に対し属性値一覧が用意されている場合は、登録されているキーワードの一覧の中から選択入力します。

また、属性値一覧が設定されていない(属性値ファイルが設定されていない)属性はフリーキーワード入力となり、キーボードから任意な文字列を入力します。

1属性に対して複数の属性値を設定することも可能です。

定義ファイルに設定してある属性で複数の属性値を入力する場合、表題欄に表示する属性値を選択してください。

その他の属性値は表示されませんが、プロパティデータの中にデータを保持しています。

3.1.入力ウィンドウについて

入力ウィンドウの各部分について説明します。

(1)タイトルバー

この部分を指示すると入力ウィンドウを移動することができます。

(2)属性表示エリア

現在入力することのできる属性一覧が表示されます。
指示した場合、選択した属性の表示エリアの背景色が変わり、属性値の入力待ちになります。

(3)属性値表示エリア、および入力要求エリア

このエリアは入力状態によって表示される内容が変わります。
それぞれの属性に対して登録されている属性値と、入力中の属性値が表示されます。
入力メッセージは「属性を選択してください」となっています。
このとき表示エリアの上部の文字列は’登録、または入力された属性値’となります。
選択する属性値の候補が表示されます。
入力メッセージは「属性値を選択してください」となっています。
このとき表示エリアの上部の文字列は’属性値の選択’となります。
・追加、変更の選択
1属性に複数の属性値を入力した場合この選択になります。
画面には追加、変更のボタンが表示されます。
このとき表示エリアの上部の文字列は’追加、変更の選択’となります。
また、変更を選択した場合、対象となる属性値一覧が表示され、その中から変更する属性値を選択します。
このとき表示エリアの上部の文字列は’どの属性値を変更しますか?’となります。
・表題欄に表示する属性値の選択
表題欄に表示する属性で複数の属性値が入力された場合この選択になります。
画面に現在登録されている属性値と入力中の属性値の候補が表示されます。
その中から表題欄に表示する属性値を選択します。
入力メッセージは「その属性値を表示しますか?」となっています。
このとき表示エリアの上部の文字列は’表題欄に表示する属性値の選択’となります。

(4)属性ページ表示エリア、およびページ移動ボタン

属性項目のページ数を’現在のページ数/最大のページ数’で表示しています。
属性項目が複数ページにまたがる場合、ページ表示エリアの左右にページ移動ボタンが表示され、選択する属性のあるページまで移動することができます。

(5)属性値ページ表示エリア、およびページ移動ボタン

属性ページ表示エリアと同様に、属性値項目のページ数を表示します。
属性値の選択になると属性値ページ表示エリアにページ数が表示されます。

(6)登録ボタン

入力が終了した時点でこのボタンを指示します。
このボタンを指示すると、それまでに入力した属性、属性値のデータが一時的に登録されます。

(7)中止ボタン

現在までの入力を取り消し、コマンドを終了します。
スクリーンメニューからREJECTを入力しても中止できます。

3.2.入力ウィンドウの配置位置の移動

タイトルバーの部分(1)を指示すると、入力ウィンドウの外形がドラッキング表示され、指示した位置に入力ウィンドウを移動することができます。

ただし、移動範囲はSpace-E/Drawの画面内です。

3.3.属性の一時登録

入力した属性、属性値データは、保存を実行したときにDRADPROPという名称のグループに付加されるプロパティデータに登録されます。

属性値を入力した後、入力ウィンドウの’登録’ボタンを指示すると、現在までに入力したデータを一時的に登録します。

この時点ではグループプロパティデータDRADPROPに入力データは登録されません。

モデルを保存した時に初めてプロパティデータに登録されます。

3.4.コマンド実行中の一時的なクラスのカラー変更

図面管理(DRAD)コマンド実行中は、スクリーンメニューのカラーをクラス240から246番に一時的にセットします。

そのため、図面管理(DRAD)コマンド実行中では240から246番のクラス要素は、ビューの処理がされるとSpace-E/Draw起動時に設定したカラーとは異なるカラーで表示されます。

しかし、コマンド終了後に初期のカラー設定に戻すので、要素のクラス表示は元の状態に戻ります。

4.グループプロパティ(DRADPROP)への登録

図面管理サービスが利用できる環境では、名前付保存(FILE)コマンドで、’属性データを登録しますか’の項目が表示されます。

----------------------------------------------------------------------------
1.モデル名称: zumen_kanri
2.作業者名:
3.注釈:
4.登録する対象アイテム:すべて
  0.すべて
  1.アクティブリスト中のアイテム
5.モデルを再登録するとき
  バックアップファイルを作成しますか:作成しない
  0.作成する
  1.作成しない
6.原点:(0.0000,0.0000,0.0000)
7.ディレクトリ名称 :<C\HZS\draw\work_field>
8.ファイルフォーマット:<MD>
  1.MD
9.属性データを登録しますか: 登録する
  0.登録する
  1.登録しない
----------------------------------------------------------------------------

属性データを’登録する’にしてファイルコマンドを実行すると、直前に図面管理(DRAD)コマンドで入力した属性、属性値のデータがモデル上のプロパティーデータに登録されます。

’登録しない’を選択した場合は、直前に入力した属性値の内容を無効にし、プロパティーデータへの登録は行いません。

項目8のファイルフォーマットがMD以外の場合、’9.属性データを登録しますか’の項目は表示されません。

5.モデル上のグループプロパティーデータ(DRADPROP)

グループプロパティーデータ名称:DRADPROP
データフォーマット:
   フィルター番号 0:入力された属性の数(=N)
   フィルター番号 1〜N:属性、属性値のデータ
	フィルター番号1以降のデータの入り方       
	0            24            64         72(byte)
	┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
	└┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘
	│←  属性データ  →│←  属性値データ  →│↑
	│←  24バイト  →│←  40バイト   →│表示フラグ(1バイト)
      
						  1;表示
						  0;非表示
                
		*文字の最後はNULLコードが入っています。
	

6.表題欄文字列の再構築

モデル呼出し時にプロパティデータを参照して表題欄の文字列を配置しなおします。

7.注意事項

Space-E/Drawからのコマンドでの属性値の入力は、新規入力と既に入力済みの属性値の変更のみで削除についてはサポートしていません。

図面管理サービスでは、基本的にプロパティデータは参照するのみで編集は行わないでください。

図面管理サービスでは、直接プロパティデータを編集しないと削除は行えません。

もし、プロパティデータを編集される場合は、’5.モデル上のプロパティデータ(DRADPROP)’を参照し、データに不整合が起こらないように注意して編集してください。