有限会社エフプランニング 様は、ものづくりに必要な3次元データの品質を追求し、日々データに秘めた可能性を追求されています。長年、自動車関連の業務を行っていた経験を活かして起業され、3次元データを活用して様々な分野へのチャレンジを積極的に行っています。
今回は、Space-E/Modelerを利用した幅広い事業への取り組み、その効果と今後の展開などを中心にお話をお伺いしました。
もともと自動車のメーカで設計・開発を行っていましたが、他の業務もやってみたいと考え、他の会社に転職しました。
そこでは設計だけでなく、経営・営業・製造・デリバリなどについて、あらゆるノウハウを学びました。いつかは独立したいという希望はあったのですが、会社が人員削減を始め、そうせざるをえない状況になったのも独立のきっかけのひとつです。次はどこの会社に就職しようか迷いましたが、今までの経験を活かして自分で何かできないかと考え、思い切って2004年4月に個人で創業しました。
会社看板
「起業するのであれば、バックアップしますよ。」と言ってくださる北関東の企業もあり、私の技術力をかっていただいていることは大変ありがたいことでした。
起業当初から営業活動を行うことなく、起業をバックアップしてくださった会社から仕事をいただきました。その後も少しずつですが取引先を増やすことができ、現在に至っています。
2006年に法人化し、現在、4名で業務を行っていますが、当社がここまでになったのも、さまざまな方のおかげだと思います。
代表取締役 藤原 鉄也 様
愛知県という土地柄もあり、やはり自動車関連の業務がメインですが、住宅関連、玩具関連や建機車両など、幅広く積極的に取り組んでいます。
外装部品や内装部品などの樹脂部品を得意としています。大物部品以外にもブラケット・各種プレートなどの小物部品のデータも作成しています。製品設計だけでなく、製品検査冶具や熱サイクル用試験冶具などの冶具関連のデータ作成も行っています。
また、スタイリングデータを基に、レイアウトの検討・構造検討・製造検討・材料検討などを行い、Space-Eで製品化をサポートしています。
自動車関連の開発主要部品
Space-Eによる設計と図面化
BRKT
検査冶具
建機車両や農業車両のボンネット・ラジエータグリル・フロアパネルなどのモデリングデータ作成などを行っています。最近は国内だけでなく米国向けの業務も多く行っています。
浴槽や台所のシンクのモデリングデータを作成しています。最近は曲面を帯びたデザインも多く、3次元データが必要になっています。
また、全く違う分野として、フィギュアなどのデータ作成も行っています。寸法なき世界で、小さな人形を3次元測定器で測定し、そこから曲面の再作成を行いデータを作成します。データ作成後は、光造形で確認用モデルを作成するところまで行っています。最近はカードゲームやゲーム機などがの主流となってきていますが、データ作成の仕事を受けるだけでなく、逆にこちらからさまざまな提案をしていかなくてはと考えています。
建機車両・農業車両、住宅関連ではモデリングだけでなく、PL面作成などの初期の金型データ作成まで行っています。金型データの作成まで行うことで、モデリングから金型データまでトータルに受注できるようになりました。お客様にとっても一貫して仕事を依頼できますし、納期も短縮できるというメリットがあります。金型のことを考慮しながらモデリングを行いますので、その後の工程にもデータがスムーズに渡ります。お客様からも「ありがたい」と言われますし、そう言っていただけると、今まで頑張ってきてよかったと思います。
データ作成以外にも、お客様から依頼があれば、試作や加工なども取引のある会社に依頼して対応しており、データ作成だけでなく、工程全体におけるコーディネイタを当社が担当することで、少しでもお客様のお役に立てればと考えています。
ホイール関係の仕事が縁で、不具合が生じたホイールの表面を再加工して再塗装を行い、新品同様に手直しするというような業務も行っています。
補修後のアルミホイール
当社の業務において、設計に活用しているのがSpace-E/Modelerです。
現在、当社の業務のほとんどにSpace-Eを利用しています。今までさまざまなシステムを利用してきましたが、一番使いやすいシステムだと思います。2005年、2006年、2008年に増設を行い、現在は4台利用しています。
Sapce-E操作の様子
現在当社では、車のカスタマイズとして、オリジナルカー商品の開発を計画中です。
この開発にもSpace-Eを利用します。
当社はSpace-Eの3次元データを活用していますが、3次元データを利用することで、製品としても品質の高いものを提供できると思います。今までの技術力とノウハウを活かして一歩上のものづくりを目指し、他社との差別化を図ることが大事だと常に考えています。
製品設計(Space-E/Modeler)
金型用PL面の作成(Space-E/Modeler)
オリジナルブランド スプリードとジャスティス
現在、自動車関係の部品など減産しているという話も聞きますし、去年と比較して、当社のような小さい会社に依頼される設計の仕事数は非常に少なくなっていると感じています。この業種に波があることは仕方のないことですが、今年はかなり厳しいです。
しかし、空いた時間は次のステップへの準備に有効利用できます。その準備のひとつとして、現在、新社屋を建設中で、業務に支障がないよう、12月の連休を利用して引越しを行う予定です。
当社の社員が、図面から新社屋の模型を製作し検討を行いました。当社ではお客様から依頼があれば、このような模型製作も行っています。
新社屋の1階には車一台が入れるスペースを設け、インガレージかつ作業場として利用するつもりです。3次元測定器を利用し、車まるごと1台を測定することも可能だと考えています。
建設中の新社屋
新社屋の模型
現在は金型まで行っていますが、CAMを導入して加工パスを出力できるようになれば、さらにコストも下がりますし、製品設計から金型設計〜加工パス作成まで一貫した業務の依頼が受けられます。
しかし、CAMを導入しようと思うと、加工機械のことなども理解する必要があります。
設計では冶具の大きさは考慮しますが、あくまでもデータですので、画面の中の世界です。金型加工では、バンパーなどの大物に対応しなくてはいけませんし、5軸を利用することもあります。導入してすぐに使いこなすのは難しいと思いますので、勉強し準備が整ってからです。
また、3次元測定器や解析システムの導入も、今後検討していきたいと考えています。
当社は少人数でやっているので、ここ3、4年間はなかなか営業活動が思うようにできていません。今後はスタッフに業務を任せて、営業にも力をいれていきたいと思います。今は北関東と愛知県内、浜松などにお客様が多いのですが、大阪や広島など、西日本に拡げていきたいと考えています。
いろいろな会社を訪問すると、"面倒な部分も含めて何でもお願いできる会社があれば助かる"とお聞きすることが多く、そんな会社に当社がなればいいのだと思います。
プラス志向で何にでも取り組んでいこうという考えです。あの会社に依頼したら、ここまで全部引き受けてくれる、一貫してお願いできる、柔軟に対応してくれる、そんな頼られる会社を目指しています。
問い合わせなどはメールすることが多いのですが、レスポンスが速く非常に助かっています。当社の急な要望に対応してくれたこともありますし、まるで当社の一員のように親身になっていろいろと考えてくれています。
これからも今までと同様、最新情報の提供や迅速なサポートをお願いします。