補助機能パラメータ

送り速度減速

送り速度減速機能とは、経路要素の傾きやコーナー部分の角度、水平円弧のRを基準に送り速度を減速する編集をする機能です。
経路形状を元に送り速度減速の経路編集を高速に計算できます。

ストックの残り量、工具負荷に対する減速は行いません。
ストックの残り量、工具負荷に応じた送り速度減速をするには[補助機能]-[最適化] の送り速度減速をご使用下さい。

注意)突き加工、往復突き、穴あけ機能の経路には対応していません。

送り速度減速機能は以下の4種類の機能で構成されています。

機能名
機能概要
要素勾配毎の減速
経路の傾きに応じた送り速度の減速機能です。
主に特殊ペンシル、面なり機能などの直線経路で作成する機能で用います。
例えば、削り残し経路で立ち壁、急勾配を−Zへ工具降下する切削では工具先端に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減します。
円弧経路には対応していないため、 等高線系経路、走査線系経路などの平面指定コードが含まれる経路には適していません。

走査線コーナー減速

コーナー前後要素の勾配の相対角度に応じた送り速度の減速機能です。 主に走査線経路で用います。
例えば、走査線経路で隅部の切削は工具に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減します。
削り残し、面なり、特殊ペンシル機能などの経路でも使用可能です。

等高線コーナー減速

+Z側から見たときのコーナーの角度に応じた送り速度の減速機能です。 主に等高線経路で用います。
例えば、等高線経路で隅部の切削は工具に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減します。
面なり、特殊ペンシル、輪郭の[スパイラルで加工]などの経路でも使用可能です。

等高線コーナーR減速

円弧経路のRの大きさに応じた送り速度減速を行います。
主にインコーナーRや2次元経路のコーナー部の減速で用います。
XZ,YZ平面に乗った円弧、3次元に傾いた円弧経路も減速可能です。

 

パラメータ

各部名称をマウスでクリックすると、各パラメータを説明します。

<送り速度減速メインウィンドウ>

制限項目

 

パネルで 各機能のチェックボックスを指定するとその欄の角度、R、速度比を参照した計算を行います。
複数の機能を指定すると、それぞれの減速が重複してかかりますが、例えば特定の経路部位で「走査線コーナー減速」と「等高線コーナー減速」の設定範囲に該当すると2重で減速されることになります。チェックを重複して指定する場合は減速比を大きめに指定することで過剰に減速されることを避けて下さい。

要素勾配毎の減速
経路の傾きに応じた送り速度の減速機能です。
例えば、削り残し経路、特殊ペンシル経路等で立ち壁、急勾配を−Zへ工具降下する切削では工具先端に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減することができます。

チェックを指定するとこの欄で設定した角度範囲と速度比が有効になります。

注意)円弧経路は減速の対象となりません。
見た目が直線経路でRの大きい経路(等高線系経路、走査線系経路などの平面指定コードが含まれる経路)も減速の対象外となるため、使用には適していません。

<急勾配の工具降下で減速する例>
<送り速度減速前>
<送り速度減速後>

最小角度〜最大角度:
減速をかける範囲の経路傾斜角度を設定します。設定しない欄は空白を指定します。
水平方向を0度として−Zに降下する側がマイナス、+Zへ上昇する側がプラス値となります。
設定範囲は-90〜90度です。-90度は省略可能です。

指定の値と同じ角度の要素は微弱な誤差によって前側の速度比にかかるか後側の速度比にかかるか二分することがあります。

 

速度比:
編集元経路の通常切削部分の送り速度に対する減速比率を設定します。設定しない欄は空白を指定します。

●要素勾配毎の減速のパラメータサンプル


上記のように設定した場合、以下の意味になります。

-90度の急傾斜で降下する部分は、0.7倍の送り速度に変更します。
-90度から-80度の傾斜で降下する部分は、0.8倍に変更します。
-80度から-40度の傾斜で降下する部分は、0.9倍に変更します。
-40度以上の傾斜降下及び工具上昇する部分は変更しません。

 

走査線コーナー減速
コーナー前後要素の勾配の相対角度に応じた送り速度の減速機能です。 主に走査線経路で用います。
例えば、走査線経路で隅部の切削は工具に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減します。

面なり、特殊ペンシル機能などの経路でも使用可能です。

チェックを指定するとこの欄で設定した角度範囲と速度比が有効になります。

注意)
走査線以外の削り残し加工経路も編集可能ですが、経路形状のコーナー角度に合わせた減速機能のため加工残り量に応じた減速となりません。

<隅部コーナーの手前で減速する例>
<送り速度減速前>
<送り速度減速後>

最小角度〜最大角度:
減速をかける範囲のコーナー角度を外角で設定します。設定しない欄は空白を指定します。
工具降下から上昇、降下から水平方向、もしくは水平方向から上昇する箇所をマイナスで指定、
工具上昇から降下、上昇から水平方向、もしくは水平方向から降下する箇所をプラス値で指定します。
つまりコーナーの前側要素に対するコーナーの後側要素の相対角度です。

設定範囲は-180〜180度です。 -180度は省略可能です。

指定の値と同じ角度のコーナーは微弱な誤差によって前側の速度比にかかるか後側の速度比にかかるか二分することがあります。

<角度>

注意)
指定の値と同じ角度のコーナーは微弱な誤差によって前側の速度比にかかるか後側の速度比にかかるか二分することがあります。

速度比:
編集元経路の通常切削部分の送り速度に対する減速比率を設定します。設定しない欄は空白を指定します。

●走査線コーナー減速のパラメータサンプル

上記のように設定した場合、以下の意味になります。

120度以上の鋭角の隅部コーナーは、0.7倍の送り速度に変更します。
120度から90度の隅部コーナーは、0.8倍に変更します。
90度から 60度の隅部コーナーは、0.9倍に変更します。
60度以下の緩やかな隅部コーナー及びモデル外側に折れる部分は変更しません。

減速長さ:
コーナー手前で減速開始する位置を経路上の実長で指定します。

注意)
コーナー手前に指定された減速長さより短い要素がある場合、その要素だけが減速されます。

 

等高線コーナー減速
+Z側から見たときのコーナーの角度に応じた送り速度の減速機能です。 主に等高線経路で用います。
例えば、等高線経路で隅部の切削は工具に負荷がかかるため、この機能で工具負荷を軽減します。

面なり、特殊ペンシル、輪郭の[スパイラルで加工]などの3次元に傾斜した経路でも使用可能です。

チェックを指定するとこの欄で設定した角度範囲と速度比が有効になります。

注意)
等高線以外の加工経路も編集可能ですが、経路形状のコーナー角度に合わせた減速機能のため加工残り量に応じた減速となりません。

<等高線経路コーナーの手前で減速する例>
<送り速度減速前>
<送り速度減速後>

最小角度〜最大角度:
減速をかける範囲のコーナー角度を外角で設定します。設定しない欄は空白を指定します。
ダウンカット経路でのコーナーをプラス値で指定し、アップカット経路でのコーナー角度をマイナスで指定します。

設定範囲は-180〜180度です。 -180度は省略可能です。

指定の値と同じ角度のコーナーは微弱な誤差によって前側の速度比にかかるか後側の速度比にかかるか二分することがあります。

<角度>
<ダウンカット経路>
<アップカット経路>

注意)
通常ダウンカット経路では左に折れる部分が隅部のコーナーとなりますが、経路によってはモデル外方向に突出しているコーナーや右に折れる経路の場合があります。
例えば、ピック連結で折れる部分や平坦面上の経路でガタついている箇所、[輪郭機能]-[オプション]-[オフセット補間方向]-[交線補間]で線分補間された部分などでは逆にマイナス値の角度が適用対象となります。 アップカットではその逆にプラス値が突出部分の適用対象です。

 

速度比:
編集元経路の通常切削部分の送り速度に対する減速比率を設定します。設定しない欄は空白を指定します。

●等高線コーナー減速のパラメータサンプル

上記のように設定した場合、以下の意味になります。

120度以上の鋭角の隅部コーナーは、0.7倍の送り速度に変更します。
120度から90度の隅部コーナーは、0.8倍に変更します。
90度から 60度の隅部コーナーは、0.9倍に変更します。
60度以下の緩やかな隅部コーナー及びモデル外側に折れる部分は変更しません。

減速長さ:
コーナー手前で減速開始する位置を経路上の実長で指定します。

注意)
コーナー手前に指定された減速長さより短い要素がある場合、その要素だけが減速されます。

 

インポート
送り速度減速の情報が設定されている外部ファイル(FCTファイル)を読み込みます。

通常は送り速度減速のパラメータ設定を再利用するため機能パレット、工程パレットに保存するで十分です。
インポート、エクスポート機能は、送り速度減速のパラメータが多いため設定を模索するときに手間がかかってしまいます。例えば走査線コーナー減速と等高線コーナー減速の設定を組み合わせたい場合、それぞれを別々にエクスポートした後、別のノードにインポートすることでパラメータ設定の構築を行いやすくします。


「インポート」 のボタンを押すと以下のパネルが出ます。

「開く」を押すと、そのファイルに保存されている角度範囲、R範囲、速度比を差し替えます。
「キャンセル」では、外部ファイルの読み込みを中止します。

エクスポート
現在表示されている送り速度減速の情報を外部ファイル(FCTファイル)に出力します。

「エクスポート」 のボタンを押すと以下のパネルが出ます。

「保存」を押すと、現在設定されている角度範囲、R範囲、速度比をファイルに保存します。
「キャンセル」では、外部ファイルの書き込みを中止します。

 

高度な設定

等高線経路のコーナーRの大きさに応じた送り速度減速を行います。
ボタンを押すとRの範囲指定と速度比を設定するパネルが開きます。

ボタンの表示は、コーナーR減速設定パネル内のパラメータ設定を参照するか、しないかの状態を表示しています。

コーナーR減速設定のパラメータを参照する
コーナーR減速設定のパラメータを参照しない

ボタンを押すと以下のパネルが表示されます。

<送り速度減速 高度な設定 ウィンドウ>

 

等高線コーナーR減速
円弧経路のRの大きさに応じた送り速度減速を行います。
主にインコーナーRや2次元経路のコーナー部の減速で用います。

XZ,YZ平面に乗った円弧、3次元に傾いた円弧経路も減速可能です。

チェックを指定するとこの欄で設定した半径範囲と速度比が有効になります。

<等高線経路コーナーの手前で減速する例>
<送り速度減速前>
<送り速度減速後>

注意)
一見円弧経路のように見えても多数の線分で構成された経路は減速の対象外となります。

経路エディタ通常表示
経路エディタ端点表示
直線で構成されたR状の経路は
コーナーR減速されない。

左折するコーナーRの減速、右折するコーナーRの減速

最小R〜最大R:
減速をかける範囲のコーナーRの半径を設定します。設定しない欄は空白を指定します。
設定値は[左折するコーナーRの減速][右折するコーナーRの減速] 共にプラスの値を設定します。

ダウンカット経路では、イン側につくコーナーを[左折するコーナーRの減速]で指定。ピン角を回り込むコーナーRを[右折するコーナーRの減速]で設定。
アップカット経路では、イン側につくコーナーを[右折するコーナーRの減速]で指定。ピン角を回り込むコーナーRを[左折するコーナーRの減速]で設定。

自由経路、経路編集で斜めに傾けた円弧経路なでも使用可能です。右折/左折の判断基準は法線ベクトルZの正負の値に依存します。

ダウンカット経路
アップカット経路

注意)
指定のR値と同じ半径のコーナーRは微弱なRの誤差によって前側の速度比にかかるか後側の速度比にかかるか二分することがあります。
R1000以上の円弧経路は減速の対象となりません 。

速度比:
編集元経路の通常切削部分の送り速度に対する減速比率を設定します。設定しない欄は空白を指定します。

●等高線コーナーR減速のサンプル

上記のように設定した場合、以下の意味になります。

1.0以下のコーナーRは、0.7倍の送り速度に変更します。
1.0から2.0の間のコーナーRは、0.8倍に変更します。
2.0から5.0の間のコーナーRは、0.9倍に変更します。
5.0以上のコーナーRは送り速度変更しません。