5軸仕上げ加工(5軸経路・NCデータ作成機能) |
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Space-E/5Axis特有の機能である『5軸仕上げ加工』機能は5軸経路およびNCデータを作成するための機能の1つです。設定されている製品形状に対し、指定された方向を基準としてアンダーカット部を考慮した5軸経路の作成を行います。また、経路計算時と同時に5軸工作機経路用のNCデータの作成も行います。
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作成する経路の切込み方向の基準となる方向を設定します。
・加工基準軸方向
加工基準軸方向の種類を選択します。
等高線方向:モデル座標系のZ方向を切込み方向の基準方向とし、等高線タイプ
の経路を作成します。
走査線方向:モデル座標系のX方向を切込み方向の基準方向とし、走査線タイプ
の経路を作成します。
指定軸方向:指定した軸方向を切込み方向の基準方向とし経路を作成します。
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・進行角度
『走査線方向』の選択時に切削経路の進行角度を入力します。0°と入力すると、X軸に平行となる走査線経路が作成されます。90°と入力すると、Y軸に平行となる走査線経路が作成されます。入力できる値は、0°以上360°未満です。
・指定軸
切込み方向の基準となる軸方向の値をIJKで指定します。
加工方向の設定を行います。
・加工方向
加工方向の設定は以下の3種類から選択します。
ダウンカット : 工具の刃が未切削の部分に当たり、削り下げる加工です。
アップカット : 工具の刃が未切削の部分に当たり、削り上げる加工です。
往復 : 往復で経路を作成します。
軸方向へ行う切込みのピッチ量と切込み方法の設定を行います。
・切込み量
加工基準方向への切込み量を指定します。 ・工具設定を参照する
工具パラメータに設定されている[Z切込み量]を参照するかどうかを指定します。 チェックを指定すると、[切込み量]には、その値が反映されます。
・スパイラルで加工する
スパイラル加工での切込みを行うかどうかを設定します。
切込み方向を逆にする:
通常作成される経路とは逆方向(断面の逆順)から加工を行います。ダウンカット、アップカットなどの加工方向は維持されます。加工基準方向が走査線方向以外の時に設定することができます。
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【通常】
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【切込み方向を逆にする】
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加工の開始位置と加工を行う範囲を設定します。
・加工開始点を設定する
加工開始点のパラメータを有効にします。 ・加工開始点
作成される5軸経路の加工開始位置を指定します。
・延長量
作成される5軸経路の長さがモデルに対して延長される量を設定します。
マイナス値は設定できません。
・軸方向切込み範囲を指定する
切込み範囲のパラメータを有効にします。
・切込み範囲
作成される5軸経路が切込みを行う範囲を、2点を選択することで指定します。
経路の切込み方向(ピッチ方向)に対し2点の位置を参照し、その間にのみ経路を出力します。
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[延長量]
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[切込み範囲]
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5軸仕上げ加工での追い込み加工の設定を行います。
・追い込み加工を行う
追い込み加工の各パラメータを有効にします。 ・追い込み方向
追い込みを行う経路のオフセット方向を選択します。
工具軸方向:
基となる経路を各経路位置での工具軸の軸方向にオフセットした追い込み加工を行います。
面に垂直な方向:
基となる経路を各経路位置での面に垂直な方向にオフセットした追い込み加工を行います。
・追い込み方法
追い込みを行う経路の加工を行う順番を選択します。
経路毎に追い込みを行う:
経路ごとに切込み回数分追い込みをしていく順序で加工を行います。
断面毎に追い込みを行う:
1断面に対し切込み回数分追い込みをしていく順序で加工を行います。
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・切込み回数
追い込み加工を行う回数を設定します。
・切込み量
追い込み加工の切込み量を指定します。
・最終切込み回数
通常の追い込み加工終了後に行う最終切込みの切込み回数を設定します。
・最終切込み量
最終切込みの切込み量を指定します。
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[追い込み加工]
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・ストック形状を使用する
設定されているストック形状を参照して経路の作成を行います。
・ストック形状
ストック形状の指定を行います。ここで指定された形状の範囲で追い込み加工の経路を出力します。
・STL指定
ストック形状の指定時に取り込んだモデルからの選択ではなく、形状ファイル(STL)の指定によってストック形状の設定を行います。ここではファイルのフルパスを指定する必要があります。
5軸仕上げ加工での回転コピーの設定を行います。
・回転コピーを行う
回転コピーの各パラメータを有効にします。・回転基準軸
コピーを行う回転の中心となる軸を指定します。X軸: X軸周りに回転します。
Y軸: Y軸周りに回転します。
Z軸: Z軸周りに回転します。
指定軸:設定された2点を結ぶ直線を中心軸にして回転します。
・コピー数
回転軸方向に経路をコピーする個数を指定します。 1個の場合はもとの経路のみが表示されコピーは行いません。
・回転角度
コピーされる1つあたりの回転角度を指定します。
5軸仕上げ経路のアプローチ部分の設定を行います。指定されたモデルに対して作成する経路の条件を設定します。
画面上をマウスでクリックすると、各パラメータを説明します。
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アプローチを行う際の参照方向の設定を行います。
・アプローチタイプ
以下の3つよりアプローチタイプ(参照方向)を選択します。
未設定:アプローチを付加せず、工具軸方向に切込みを行います。
基準軸参照アプローチ:
機能で設定した『加工基準軸方向』を基準としたアプローチを付加します。
工具軸参照アプローチ:
アプローチする位置での工具軸を基準としたアプローチを付加します。
・アプローチ部の角度変更を行う
アプローチ中の工具軸の角度変更を有効にします。
アプローチを行う際の経路の設定を行います。
・アプローチタイプ
以下の3つよりアプローチタイプを選択します。
直線:アプローチ位置に直線経路で切り込むアプローチを付加します。
円弧:アプローチ位置に円弧経路で切り込むアプローチを付加します。
接線:アプローチ位置の経路の接線方向から切り込むアプローチを付加します。
・アプローチ方向
選択したアプローチタイプの経路を付加する方向を設定します。アプローチタイプが接線の場合、選択できません。 軸に対し垂直:参照方向に対し垂直な方向のアプローチを付加します。
軸に対し平行:参照方向に対し平行な方向のアプローチを付加します。
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・長さ
直線、及び接線のアプローチを付加する際の長さを設定します。
・半径
円弧のアプローチを付加する際の円弧半径を設定します。
・角度
円弧のアプローチを付加する際の円弧の中心角度を設定します。
・楕円指定を行う
円弧アプローチを付加する際に、円弧を楕円径としたアプローチで設定します。
・長さ(楕円指定)
円弧アプローチの楕円指定を行う際の長さ(経路方向に対して垂直方向の距離)を設定します。
・幅(楕円指定)
円弧アプローチの楕円指定を行う際の幅(経路方向に対して接線方向の距離)を設定します。
※アプローチタイプによっては、アプローチ・リトラクトが加工面に対して干渉する可能性があります。干渉チェックにて回避してください。
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『5軸制御方法』は、『5軸仕上げ加工』で作成した経路に対し、5軸経路に変換する際に付加する工具軸など傾きの情報を設定するための機能です。経路上の各位置での工具やテーブルの傾きが何を基準にして決定されるのかを、ここで設定します。
『5軸仕上げ加工』で5軸制御方法のパラメータと設定できるものは以下の7つです。
(1) 一定傾き
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『一定傾き』は切削面に垂直な方向から、基準軸に対して工具が常に一定角度の傾きを持った状態で切削を行います。傾きは基準となる軸の方向とその軸方向へ切削面に対して垂直な方向からの回転角度によって決定されます。
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・傾斜角度
工具の傾きを決定するパラメータです。工具の向きは、切削面の垂直な方向からここで設定された角度分、基準軸周りに回転した角度になります。
・基準軸
工具の傾きを決定する際に、傾斜角度分回転する回転方向の基準となる軸を決定します。
X軸:絶対座標のX軸を基準軸に設定します。
Y軸 :絶対座標のY軸を基準軸に設定します。
Z軸 :絶対座標のZ軸を基準軸に設定します。
指定軸:2点を指定し、その2点を通る直線を基準軸に設定します。
(2) 軸を中心とした傾き
『5軸仕上げ機能』の軸を中心とした傾きについては『経路5軸変換』の「(2)軸を中心とした傾き」を参照してください。
(3) ガイドカーブ参照
『5軸仕上げ機能』のガイドカーブ参照ついては『経路5軸変換』の「(3)ガイドカーブ参照」を参照してください。
(4) 定点参照
『5軸仕上げ機能』の定点参照については『経路5軸変換』の「(4)定点参照」を参照してください。
(5) 切削方向に対する傾き
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『切削方向に対する傾き』では、切削を行う際の工具の進行に対して切削方向(順方向)と横方向(水平方向)に傾きを持った工具軸を設定することができます。
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[切削方向に対する傾き]
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・傾斜角度(切削方向)
経路上の各位置での切削方向に対して工具軸が傾く角度を設定します。工具軸は切削面に対して垂直な方向から指定角度分切削方向に回転した角度となります。工具の軸が切削方向に向かう回転方向が正方向なります。
・傾斜角度(横方向)
経路上の各位置での切削方向を回転軸とした方向に工具軸が傾く角度を設定します。工具軸は進行方向に向かって反時計回りの回転を正として、切削面に対して垂直な方向から指定角度分回転した角度を傾きとした方向になります。
・側面傾斜基準
傾斜角度(横方向)を適用する際の参照先を設定します。
経路参照:
経路を基準とした傾斜角度の設定を行います。
面参照:
切削面を基準とした傾斜角度の設定を行います。
要素参照:
断面の線分要素を基準とした傾斜角度の設定を行います。
主軸参照:
工作機設定の主軸方向を基準とした傾斜角度の設定を行います。
(6) 切削面に対し垂直
『切削面に対し垂直』では、工具軸を常に切削を行う面の面直方向に向けた状態で切削を行います。
(7) ベクトル線参照
『ベクトル線参照』では経路上の各位置での傾き情報を設定したベクトル線に基づいて決定します。
この機能では、パラメータのひとつである「ベクトル線参照方法」によって、傾きの決定方法、使用するパラメータが違います。
・ベクトル線参照方法
工具軸を決定するためにどのような形でベクトル線を参照するのかを設定します。
局所参照:
経路上の点から見て、ベクトル線検出距離内にある最も近い2つのベクトル線を算出し、そのベクトル線の向きを参照した工具軸の傾きを設定します。ベクトル線の向きを正確に参照します。
[局所参照]全体参照:
設定された全てのベクトル線を参照した工具軸を設定します。経路上の点から見て、距離が近いベクトル線ほど工具軸の傾きに参照されます。
[全体参照]
・ベクトル線検出距離
ベクトル線を検出する距離です。経路の断面から設定した値以内を検索し、参照するベクトル線が決定されます。(局所参照選択時のみ有効)
[ベクトル線検出距離]
( 青色線:検出されるベクトル 赤色線:検出されないベクトル線 )
・ベクトル線設定
Space-E/Modeler上から参照するベクトル線を選択し設定します。直線のみ選択することができ、最大で5000本登録できます。
工具軸の傾きに大きなぶれが生じる場合、それを補正した経路を作成します。
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※注意:ボール工具のみを対象としています。フラット工具やブル工具では、食い込みが発生する場合があります。
※注意:スムージングを行うことによって補正された経路は、干渉チェックを行っても、干渉が発生している場合があります。
※注意:基経路が歪んでいる場合、スムージングが正しく行えない場合があります。
※注意
・ベクトル線は直線のみ設定できます。
・ベクトル線はモデルに近付く方向に設定しなければなりません。
・ベクトル線は1本以上設定する必要があります。
・ベクトル線参照距離は0より大きい値を設定しなければなりません。
・設定できるベクトル線の上限は5000本です。
『5軸仕上げ機能』の角度制限を参照するについては『角度制限を参照する』の「角度制限を参照する」を参照してください。
『軸状態表示』は軸制御の各機能パラメータにおいて、現状で設定されている値での工具軸の角度などを確認できる機能です。
『軸状態表示』ボタンを押した後「Space-E/Modeler」上で工具の傾きを参照したい位置を指示することで、機械シミュレーションが表示され、指示された位置での工具軸が確認できます。(設定されている5軸工作機にて表示されます)
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リストにはその位置の座標と角度が表示され、干渉が発生する場合には、干渉の起こっている工具、モデルなどが赤く表示されます。
『軸状態表示』は、『5軸制御方法』に「一定傾き」「切削方向に対する傾き」「切削面に対し垂直」が指定されている場合には使用できません。
『5軸仕上げ機能』の干渉チェックについては『経路5軸変換』の「干渉チェック」を参照してください。
『5軸仕上げ機能』の回避については『経路5軸変換』の「回避」を参照してください。
各オプション機能のパラメータを設定します。
画面上をマウスでクリックすると、各パラメータを説明します。
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作成する5軸経路の切削速度を、基経路の速度から変更します。
・通常切削速度
出力される5軸経路の通常切削速度を設定します。
・エアカット速度
出力される5軸経路のエアカット速度を設定します。
経路の精度に関係する『角度変更最大ピッチ』『経路分割最大距離』の設定を行います。
・角度変更最大ピッチ
5軸経路内での経路の1要素の角度変更が行われる最大ピッチを設定します。工具軸の変更が行われる経路で、ここで設定された値より大きい角度変更がある場合、このピッチで分割した形で工具軸を計算、出力します。小さくすると角度の動作はスムーズになりますが、経路のアイテム数が多くなりNCデータ量も多くなります。
・最大経路分割距離
5軸経路内での経路の1要素の最大距離を設定します。作成される経路の1要素の長さが、必ずこの値以下になるように経路の長さを調整します。小さくすると曲線部などの経路はスムーズになりますが、経路のアイテム数が多くなりNCデータ量も多くなります。
(注意)角度変更最大ピッチの値によっては最大経路分割距離以上の要素が作成されることがあります。
経路の許容誤差と残り代を設定します。
・トレランス
3軸経路を取り込み、5軸経路を作成するときの許容誤差を入力します。取り込みを行う経路に円弧情報などがある場合に直線近似を行う際に、円弧誤差がこれ以下になるように計算します。この値を大きくすると、基の円弧形状との誤差が大きくなり、円弧部分の加工表面が粗くなります。
小さくすると誤差は小さくなりますが、経路のアイテム数が多くなりNCデータ量も多くなります。・残り代
曲面に対する残り代(仕上げ代)を入力します。
ピック部の接続方法を選択します。
・接続方法
ピック部の接続方法は以下の4つから選択します。
回避 :回避による接続を行います。
形状沿い:モデル形状に沿った形状沿いの経路による接続を行います。
ブレンド:接続を行う2つの経路の進行方向に合わせて滑らかな曲線によって接続します。
直線 :直線の経路で接続します。
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・最大距離
形状沿い、もしくはブレンドによる接続を行う各断面の最大距離を指定します。ここで指定した値より離れている断面の接続は回避によって行われます。
ある工具軸の傾きを回転角(>A/CやB/C)で表す場合、その回転角が取ることができる値は、必ず2種類あります。どちらを選択しても、製品形状から見た工具の傾きに変わりはありませんが、工作機の動作や回転角の取る数値には違いが生じます。『角度選択方法』ではどちらの回転角で切削を行うのかを決定するための基準を選択するためのパラメータです。
近距離位置:工作機の動作が少ない方の回転角を選択します。
遠距離位置:『近距離位置』で選択されないもう一方の回転角を選択します。
対距離位置:『近距離位置』の反対の位置(回転角)の回転角を選択します。
急激に軸角度が変化する経路に対して、一定範囲内で軸角度の変化を分散し、滑らかな経路を作成します。
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【軸角度分散制御OFF】
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【軸角度分散制御ON】
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・軸角度分散制御を行う:軸角度分散制御の各パラメータを有効にします。
・角度距離比 :「角度変化量(度)/移動距離(mm)」を指定します。角度距離比が指定した値より大きくなる経路に対して、軸角度分散制御を行います。この値を大きく設定することで、より短い区間内で分散制御を行います。
・最小分散角度 :軸角度分散制御をおこなう、最小の角度変化量を指定します。
外側(モデル表面方向)に回る円弧で補間することによりエッジ保護する経路を作成します。
・エッジ保護をする:エッジ保護の各パラメータを有効にします。
・判定角度 :指定した判定角度より大きいエッジを円弧で保護します。
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・半径 :円弧の半径を指定します。
注意)軸制御方法によってはコーナーループ中に急激に軸が傾きます。工具姿勢が急激に変わるような軸設定は推奨していません。
コーナー部分で余計な経路を発生させないようにします。 ・ガウジチェックをする
この項目にチェックを入れることで、コーナーでの余計な経路の発生を抑制することができます。デフォルトでオンになっています。
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【チェックなし】
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【チェックあり】
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・インコーナーR
ガウジチェックをする場合、コーナー部分に指定した半径の円弧を付加できます。0を指定した場合、円弧は付加されません。
計算対象モデルを選択します。ここで選択されたモデルは干渉のチェック対象となる製品形状として設定されます。
『5軸仕上げ機能』のポストファイル作成機能については『経路5軸変換』の「ポストファイル作成機能」を参照してください。
ツールシフトに関する設定を行います。
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・軸方向シフト
入力値の分工具軸方向に工具を移動させます。入力値はプラス、マイナスいずれの値も入力できます。移動方向は工具軸がZ軸と同等の場合を例にするとプラスは上方向、マイナスは下方向となります。
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・マージン量
作成される経路の加工面の縁までのマージン量を任意に設定できます。有効な値は0.0001からで、この値は0に設定することができません。デフォルトでは0.03が設定されています。
・工具方向シフト
加工面と工具の接触点を移動させることができます。この設定はフラット、ブルノーズ工具が使用される場合に適用されます。
設定しない:
接触点を設定しません。工具の傾き等に応じて加工面と接します。
右側:
工具の右端部(工具半径分プラス方向)を設定します。
左側:
工具の左端部(工具半径分マイナス方向)を設定します。
指定する:
フロントシフト、サイドシフトに任意の値を設定できます。フロントシフトは工具の進行方向側をプラス、後方をマイナスとしています。サイドシフトは工具の進行方向に対して右側をプラス、左側をマイナスとしています。
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